ハービーハンコック率いるカルテットの14年東京JAZZにおけるステージをステレオ・サウンドボード収録。毎年恒例のジャズ・フェスティバルにおける、やはり恒例の大御所ミュージシャンによる期待を裏切らぬパフォーマンスが、オフィシャル級のステレオサウンドボード録音で聴けるとあっては黙ってはいられまい。怪人ヴィンセント・カリウタをボトムの根幹に、百戦錬磨のジェイムス・ジナスと黒豹リオーネル・ルエケが脇を固めるこのバンドのパフォーマンスは、さながら円熟の極致というべき芳醇なる味わいを称えられる年代物のウヰスキーになぞらえよう。曲目をご覧いただければ一目瞭然、誰もが期待するあの楽曲群が、油断すれば即酩酊、強烈なること筆舌に尽くし難しといったグルーヴ全開で五臓六腑に響きわたるのである。時に凶暴なまでに吹き荒ぶアルコール度数も高めのメンバーの演奏を、幹事よろしく最終ラインで貫禄も十分にきっちりとまとめあげるあたりはさすがにハービー・ハンコック。さしずめ樽熟成の匠にしてファンキージャズという蒸留所の元締めといったところか。小生も早くアルコールを飲めるようになりたいものである。
◆Tokyo International Forum Hall A, Japan 7th September 2014
1.Actual Proof 2.Seventeen / Watermelon Man 3.Speak Like A Child / Cantalope Island 4.Rock It 5.Chameleon ◇Personnel; Herbie Hancock(p) Vinnie Colaiuta(ds) James Genus(b) Lionel Loueke(g)